易の処世法  天雷无妄〜雷風恒

 

 さて解説の形式は以下のようになってます。
  ○卦名と意味するもの
  ○卦の一般的な解説
  ○爻の意味(どれも6つあります。それぞれ身分を表したり、物事の進展の仕方を表します)の説明になります
  ○僕の注釈

天雷无妄   誠・私心無き心

 无妄とは無望であり、私心なくして一切を成り行きに 任せる姿です。どんなことがあろうとも、動揺することなく、しかし、消極的に対応するのではなく、策を弄することな く無心に物事に取り組んでいくということです。天道に従って動くことで元亨利貞を得ることができます。

  1. 無心に物事に取り組んでいくのなら吉。
  2. 耕作しなくても収穫できる幸運。
  3. たまたま災難に遭う。例えば、道ばたに牛を繋いでおいたら、通りすがりの男に牛を連れて行 かれ繋いでおいた男に損害が生じるように。
  4. 天道を守る。悪いことなし。
  5. 無心でいるために病気になる。しかし、薬など使わなくても程なくして全快する。
  6. 成り行き任せで行くのは危険。行き詰まってしまう。

 

 

 

 

 

 

 邪念に捕らわれると失敗することがよくあります。事件をみれば分 かる通り、小手先のごまかしを行おうとすれば、そこから破れ、事件解決のヒントを与え、罪を重くします。
 ここでの無心とは何も考えてないことではなく、ただ集中して物事を行うということです。何も考えないということは 六交の通り危険です。

山天大畜   集めて止める

 大畜は大いに蓄える姿を表します。それは小畜よりも 大きく貯え、大きな者が小さき者を止め養い、実力を蓄えることです。家に止まらず、外に出て棒禄を受ける(公務員・ 社員)べしともあります。

  1. 進むのは危険。災いは避けて止まれ。
  2. 車輪のスポークが抜けて危ない。止まれ。
  3. 良馬に逃げられる。しかし、平静を守るのが吉。そして動き出すのによい。
  4. 子牛の角に梏を付けるように、軽挙妄動を控えれば大いに吉。
  5. 猪の牙を止めるように、軽挙妄動を控えれば吉。
  6. 天の道を体得して進む。道は開け妨げるものはない。

 

 

 

 


 卦は集めることについてですが、爻についてはどちら かというと占いの結果が強く、大畜そのものには触れられておりません。外にでたら、上記の交の出来事に出会ったと考 えるべきでしょうか?

山雷頤   言 動について・養い

 頤とは口のことで、何を話すかについての卦です。他 人の言動を見て欲を起こし、それに従って動くことを諫めています。また、食事と判断し、何によって身体や物事を養う かを説きます。下手なものを食べて食中毒を起こすように、また舌禍で身分を失うように、言動と食事には注意しなけれ ばいけません。

  1. 自分の宝物を捨てて、他人のものを欲しがる。貴ではない、凶。
  2. 道に外れた形で養われている。友人・妻子まで捨てて養われんとする時は凶。
  3. 望みが養いの道と反している、凶。十年間、時を待つべし。動けば害となる。
  4. 道に外れた形で養われているが吉。虎視眈々と野望を持っても咎はない。
  5. 道に反しているが、上に従い続ければ吉。ただ、冒険はしないこと。
  6. 頼りにしていた人に養われる。危険にもあうが逃れることができる。冒険も可。

 

 

 

 


  人間何を頼りとするかによって違ってきます。それ は単純な信条かもしれませんし、宗教・哲学かもしれません。これらによって人生は養われていますが、逆に融通の利か ない生き方になっている場合もあります。現実を咀嚼しないと上手く人生は渡れません。

沢風大過   過度の重圧

 大過は重すぎる仕事についての卦です。卦辞に「棟た わむ」とあるように、重圧で曲がって耐えかねている姿を示しています。このようなときは逃げるか、耐え切って成長を 図るかのどちらかしかありません。

  1. 清らかな白茅を敷いて祭器を供えるように、質素ながら誠意を込めれば咎はない。
  2. 枯れた柳にもひこばえが出来て、老人に若い妻ができるというように、歳の離れた出来事であ るがめでたいことなので問題はない。
  3. 棟がたわんで折れかかっている、凶。助けるものもいない。
  4. 棟は高くなっている、吉。しかし、他の欲を出せば失敗するだろう。
  5. 枯れた柳に花が咲き、老女に若い夫ができる。みっともない。良いことも悪いこともない。
  6. 川を渡ろうと突き進んで頭まで没してしまう。凶だが咎められない。

 

 

 

 

 

 重圧、プレッシャーについての卦ですが、この危険か ら逃げ出すことなく耐えきれば道は開けるとあります。三爻に当たれば逃げるしかありませんが、逃げて回っていれば解 決はありません。ただ、現実問題として「鬱」とかになる前に引き返すのはアリだと思っています。壊れても誰も保証し てくれません。無理をせず、他の人にフォローを頼みましょう。偉い人だってブレーンを持っていて、役割を分担してい るのですから一人で何もかも抱え込まないことです。
※なお、五爻で「みっともない」と書いてますが原文でも「亦可醜也」と書いています。私の捏造ではありません。
 二爻と五爻との差は当時の考え方でしょう。

坎為水   悩 み・険難

 坎は四大難卦の一つで、トラブルが続くという困難な 事態を表しています。しかし、臆することなく至誠を持ってこの困難に立ち向かう姿は天に届き、解決へと通じていきま す。凶の卦でありながら、「孚(まこと)あり、維れ心とおる。行けば尚(たっとぶ)ことあり」と最初に書いているよ うに努力すれば希望が見えてくる卦でもあります。

  1. 穴に落ち込み、出方が分からない、凶。
  2. 穴に落ちる危険がある。出られないが、少しは可能性が見える。
  3. 穴は深くて進退に極まる。できればこの状態になるべきではない。
  4. 剛柔の間が上手くいけば、ついに災いを逃れることができる。
  5. 井戸を掘ってみたところなかなか水が出ない。そのうちに溢れんばかりに水が上がってくる。 災いはない。
  6. 縄で縛られて草むらに置かれ、三年見つからない。凶。

 

 

 

 

 

 人間、多くのトラブルに巻き込まれることがありま す。しかし、その状態を嘆くのではなく、一つ一つに分けて解決していけば、なんとかなるとアントニオ猪木氏が言って いたそうです。猪木氏がどのようなトラブルに巻き込まれたかは詳しくは存じ上げませんが、含蓄のある言葉だと思いま す。

離為火   関 わり

 離は麗であり、何かに関わったり、追随することで す。正しい物に付き、付かれる。牝牛のようなものを畜えば吉とあるのは、牝牛のような従順さを持つことが重要だと説 きます。また、太陽のように明晰な知性も表します。

  1. 人の踏み跡がバラバラで当てにならない。よく調べて進むべきである。
  2. 幸運のシンボルである鶯を得る。大いに吉。
  3. 日が西に傾いて缶(酒器)を叩いて歌った日々は遠くなり、年老いてため息を付く。凶。
  4. 何かが突如として現れ、火の中に飛び込んでくる。焼け死んで捨てられる。
  5. 王公の位の者が不幸な者を見て涙し、心痛めるならば吉。
  6. 王自ら征伐に乗り出し敵を倒す。敵の手下を許すが、それは悪いことではない。

 

 

 

 

 

 関わりの他に、火、太陽、明、知性を表します。各爻 はそれぞれこのシンボルを内包してますが、占いの結果のようです。しかし、関わることには知性と従順さが必要である というのは、意味があります。孤高の人という言葉がありますが、知性だけで従順さが足りない人は関わることに置いて 上手くいきません。単独行は危険です。

沢山咸   感応・相思相愛

 咸は感応であり、相思相愛の男女の結びつきである。 なので結婚などに吉とする。「貞なるときに利あり」なので浮気は凶。また、物事を始めるときに人々が協力し合ってい けば、うまくいくと判ずる。

  1. 足指に感じる。感じること弱く、まだ動かない。
  2. ふくらはぎに感じる。動くのは凶。何も動かなければ吉。
  3. 股に感じる。従っていれば吉。動くとよくない。
  4. 控えめにしていれば吉で、いままでの失敗もなしになる。交際すれば友はあなたについてくる だろう。
  5. 背中に感じる。悔いなし。
  6. 頬、舌に感じる。ぺらぺら喋りまくる。

 

 

 

 


 各爻を男女の愛撫と取ることも可能です。また、三国 志で劉備と諸葛亮が「水魚の交わり」を得たのも、この咸の意味に相当します。このように男女間だけでなく、天地間の 物事がお互いに感応しあうさまを言います。

雷風恒   不 変

 恒は不変・永久・一貫して変わらないことを指しま す。しかし、停滞ではありません、なにものかに惑わされることなく一貫した方針で進んでいくことが必要であると説き ます。

  1. 安定すると泥などが溜まる。時々泥をさらうように沈滞を防がないといけない。何もしないの は凶。
  2. 後悔がなくなる。長く一貫して中庸を守っているからである。
  3. 道義を守らず、大恥をかく。しかし、何もしないのは良くない。
  4. 不当に長いことその地位にしがみつく。狩りをしても獲物がない。
  5. 道義を堅く守ること。婦人は永く夫に仕えて吉。だが、男子が妻に従うのは凶。義に従うべ し。
  6. 道義を変えようとする。凶。

 

 

 

 

 

 世界は常に絶え間なく変化し続けますが、その中で道 だけは常に不変であると易は述べてます。変化の中の不変を説いたのがこの卦です。そういえば、バブル時代に手を広げ すぎて、バブル崩壊後リストラや倒産を余儀なくされた会社が結構あります。本業に集中していれば黒字だったものを新 規の関連会社の方で大赤字を出してしまったと、ある人から聞いたことがあります。隣の芝は青く見えるものです。自ら を省みつつ道を守ることが肝要です。

随時内容を追加修正します

  戻る


(c)Copyright HAZAWA KEIICHI 2006 All rights reserved